製作実績
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Atmoph Window2
臨場感ある風景を、
もっと手軽に
Atmoph Windowは、「世界とつながる窓」をコンセプトに開発された新感覚インテリアプロダクト。壁にかけたデジタル窓が、代わり映えのしない部屋の景色をドラマチックに変え、生活を豊かに彩ってくれる。いままでにない体験を届けるプロダクトは多くのユーザーの心を掴み、瞬く間に市場へと広がっていきました。
一方で「もう少し手軽に買える価格帯が良い」「さらに窓っぽく部屋に溶け込むプロダクトにできないか」「もっと臨場感のある風景を楽しみたい」といった声も上がっていました。より多くの方に『Atmoph Window』を届けるために。「コストダウンとクオリティの追求」という相反する課題の解決に向けて、バージョン2の開発プロジェクトが幕を開けました。
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メーカー
アトモフ株式会社 -
設計・製造
カリモク家具 -
設計・製造
デザインオトコシ株式会社 -
技術顧問
合同会社カラクリ
テーマは、
コストダウンとクオリティの追求
「機械設計だけお願いできますか?」新型『Atmoph Window』開発のご相談をいただいたタイミングは、既に外部の意匠デザイナーの参加や量産工場も決まっていて、デザイン原案も仕上がっている状況でした。一般的には製品開発をワンストップでご依頼いただいた方がデザインと設計の両面から仕様の検討ができ、プロジェクト自体の進行もスムーズになります。さらに、製品に応じて最適な工場をご紹介して製造管理まで行えることもオトコシの強みのひとつでした。
そんな私たちが出した答えは…「もちろんです!面白そう!」オトコシの仕事に対する基本スタンスは「Noからはじまる仕事はしない」こと。商品企画・意匠デザイン・機械設計・試作から量産サポートまで、お客様の「ここだけ手伝ってもらえないか」にも全力でお応えしたいと考えています。スタートアップなので予算は限られている、でも開発スピードも重視したい。コストダウンしながらもクオリティを追求したい。そんな熱くチャレンジングなご相談に、わくわくしながら二つ返事でプロジェクトへの参加を表明していました。
見た目にも、
使いやすさにもこだわりたい
コストダウンに向けてまずご提案したのは、製品のフレームを分割機構にすることでした。従来のフレーム一体型製品に比べて金型の費用を抑えることが可能になります。さらに、意匠性を確保するためにネジを使わない構造を検討。剛性を確保しながら、部品点数の削減や共通化でコストダウンを目指しました。
デザイナーが描ききれない細かな部分やユーザビリティに配慮した設計も大切です。より臨場感のある風景を目指して、新製品ではカメラやLEDライト等のオプションモジュールの採用が決まっていました。意匠性を損なわず、かつユーザビリティにも配慮しながら、各種モジュールの取り付け機構や可動機構の操作ボタンなど細かな設計を詰めていきました。
壁に掛けたままフレームの交換ができる構造は、設計方針を議論するなかで生まれたアイデアのひとつです。外部デザイナーの意見とお客様のご要望をとり持ちながらフラットに意見交換を重ね、ユーザーファーストで製品設計を考え、ときにご要望を超えた提案を行う。どんな仕事にもチームとして向き合うのが、オトコシのスタイルです。
何度もテストして、
最良の設計をめざす
もちろん、初期設計がそのまま上手くいくことはありません。いちばん苦労したのは分割構造にしたフレームの組み合わせでした。試作によって見えてきた改善点を、社内の3Dプリンターを使いながら何度もテストを実施して解決法を探ります。新製品は樹脂製フレームと木製フレームのコンパチブル設計だったため、木製フレームの製造を依頼する家具メーカーにも足を運び、担当の方と細かな設計を何度も詰めていきました。
量産においても、注意すべきことはたくさんあります。寸法公差、金型製造にともなう形状、表面処理の仕様、枠の反り方、外観の影響する箇所のPL… 量産化の際に起こりうるアクシデントをあらかじめ予測し、デザイン性と作りやすさを天秤にかけながら、メーカーや工場の意見を軸に協議・調整を進め、製品化を目指していきました。
商品が無事お客様のもとに届くこと。それが裏方として何よりの喜びです。だからこそ、「ただの設計担当」ではなく、ものづくりのパートナーとして、最後まで責任をもってお手伝いします。
Voice
お客様の声と小噺
コストダウンとクオリティ向上を突き詰めた結果、機械設計にかなりの時間を費やすことになりましたが、製品は無事リリースされて初期ロットは完売&増産が決定したと喜びの声をいただくことができました。一緒に携わった外部デザイナーの方からも、デザイン意図をくんでいただき仕事が進めやすかったとのことで、その後他の案件をご相談いただく関係を築くことができました。
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デザインオトコシさんはじめみなさんには、類を見ないタイプのプロダクトの設計というハードルに加え、電子機器と木材の融合、かつ原価も抑えるという難題に答えを出していただけました。試行錯誤を経ながら私たちの思い、デザイナーの思いを見事形にしていただけ、大満足です!
アトモフ株式会社 姜京日様
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アトモフ様はじめ関係者の皆様に設計開発業務の進めやすい環境をご提供頂けたことを何より感謝いたしております。
素晴らしいチームだったからこそ実現できた結果だと確信しています。
さらに多くの方に楽しんでいただける商品になることを願っております。デザインオトコシ株式会社 藤岡
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《樹脂》と《木製》、組成も製法も異なる部材による『窓枠のコンパチ』というご要望も、新しいチャレンジで設計者魂をくすぐられました。操作部の3ボタン部分はスペースが非常に厳しくて、ユーザーの操作感を損ねないかつコストも両立する設計に挑戦しており、密かなアピールポイントです(笑)。
ユーザーの皆様が、『Atmoph Window2』を通じてアトモフ様のファンになってくだされば、これ以上の喜びはありません。合同会社カラクリ 依田